お客様から届いたメールを開いてみると…
お客様からは、Word文書とPDF文書を添付したって聞いてたんだけどなあ。
この「winmail.dat」をダブルクリックしても
こんな画面が出てアプリで開くことも出来ません。
Winmail.dat ってなに?
これは、マイクロソフト社製のメールアプリである「Outlook」が使っている独特なメッセージ形式の影響です。
メールのメッセージ形式が Outlook のインターネット メールのメッセージに与える影響
Microsoft Outlook と Microsoft Exchange クライアントの両方は、インターネット上でメッセージを送信するために情報をパッケージ化する特別な方法を使うことがあります。 この方法は技術的に Transport Neutral Encapsulation Format (TNEF) と呼ばれています。
「メールのメッセージ形式が Outlook のインターネット メールのメッセージに与える影響」より
添付ファイルがパッケージ化されてしまうので、TNEFというメッセージ形式を理解できるメールアプリで受信しないと、添付ファイルとして認識出来ないということになります。
TNEF形式を取り扱えるアプリは、上記にもあるように「Outlook」(Excangeクライアントも同等のアプリ)のみです。
対処方法(受信側)
方法1. Outlookを導入
上記を踏まえて、ちゃんと受信側で対応しようとすると「Outlook」を導入するということになってしまいます。マイクロソフト社は現在Outlookを無料では配布していません。導入しようとすると、
といった単体購入でも1万円後半、
といったOfficeアプリとのセットだと3万円台となります。また月額サブスクリプションのMicrosoft 365という選択肢もあります。
ただ、金額の問題もありますがOutlookのユーザーインタフェースが受け付けない、自分の好みのメールアプリを使いたいといった方もいらっしゃるかもしれません。
方法2. ウェブメールを利用
- Gmail や Yahoo!メール などのウェブメールへ winmail.dat が添付されたメールを転送する
すると、TNEFを解釈して通常の添付ファイルの形で取り出せるようです。このようなウェブメールを一時的に活用することも一つの方法です。
方法3. フリーウェアを利用
- フリーウェア「Winmail Opener」を利用する
TNEFでエンコードされたメッセージ(winmail.dat)ファイルを開くソフト
フリーウェアが提供されているようです。弊社では動作確認しておりません。また、安全性などはご自身でご判断しご利用ください。
方法4. 送信者に送り直してもらう
送信者に意識してもらうためにはこれがいいのかも知れませんね。Outlookってのはこんな危険性があるので、なんとかかんとか。関係がこじれない程度にほどほどに。
対処方法(送信側)
いくら市場シェアの高いマイクロソフト社といえども、このような特定ベンダーしか利用していないメッセージ形式を、インターネットへと送信してしまうことのほうが問題だと思います。相手がOutlookである時のみ送るような仕組みをマイクロソフト社には構築して欲しいものです。
メールのメッセージ形式が Outlook のインターネット メールのメッセージに与える影響
に、送信側としての回避方法がいくつか説明されています。
幻?の設定
Microsoft Outlook 2010 以降のバージョンの場合:
TNEF を無効にするには、次の手順を実行します。
「メールのメッセージ形式が Outlook のインターネット メールのメッセージに与える影響」より
1. [ファイル] タブ、[オプション]、[メール] の順にクリックします。
2. [このメッセージ形式で作成する] の一覧で、[テキスト形式] または [HTML 形式]、[OK] の順にクリックします。
とのことです。
ところが、最近のOutlookはすでに「HTML形式」がデフォルトのメッセージ形式となってます。
ということは、winmail.dat問題が発生しない?と思うのですが、それでも現場ではなぜか発生し、その都度、送信したメッセージ形式の確認や、受信したメールのヘッダーに「X-MS-TNEF-Correlator」が付いているかどうかの確認をして回っていました。このヘッダーが付いているとTNEF形式になってしまっています。
そんななか、やっと社内のPCで再現しました!で、時間を取って確認してみるとなんと、
- Outlookでの送信はHTML形式となっているのに、それを受信すると「X-MS-TNEF-Correlator」ヘッダー付きでwinmail.dat添付になる
というのが捉えられました。
既定のメール形式をプレーン テキストまたは HTML に変更すると、Outlook 機能が必要とする場合を除いて TNEF が送信されないようにします。
「メールのメッセージ形式が Outlook のインターネット メールのメッセージに与える影響」より
「Outlook 機能が必要とする場合を除いて」…
必要な場合は、HTML形式やテキスト形式であってもTNEFにするぞ、ということです。愕然。
今回のメールはWord文書が添付されているのでそのせいかなぁ、と推測してますが、海外事例など見るとPDFでもwinmail.datになったとの例があります。
「Outlook特有の機能」と云われるのは、
- カスタムフォーム
- 会議出席依頼
- 仕事の依頼
- 投票ボタン
- OLE(Object Linking and Embedding)オブジェクトの本文への埋め込み
- メッセージの取り消し
とのことだそうです。
でも、このような機能は使っていないにも関わらずTNEFにされていました。判断基準はまったくもって不明です。
対策1. レジストリに値を設定
表面上に出ている設定の類では強制的にTNEFをオフにすることは出来ないということです。ということで最終手段であるレジストリになってしまうわけです。
少し古い情報ですがOutlook 2010の説明としてマイクロソフト社のページにレジストリでの対応方法が載っていました。
Outlook 2007 および 2010 でメールを送信すると、受信者側に Winmail.dat というファイルが添付される
c. 次のレジストリ サブキーを見つけてクリックします。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\14.0\Outlook\Preferences
「Outlook 2007 および 2010 でメールを送信すると、受信者側に Winmail.dat というファイルが添付される」より
Outlook 2016以降では「14.0」という部分を「16.0」へ読み替えてください。
これを設定し、再現環境で試してみるとTNEF形式での送信が止まりました。複数のPCに設定をするなら.regファイルの配布などで対応していくことになります。
TNEF形式での送信がなくなりますので、
- カスタムフォーム
- 会議出席依頼
- 仕事の依頼
- 投票ボタン
- OLE(Object Linking and Embedding)オブジェクトの本文への埋め込み
- メッセージの取り消し
の機能は使えなくなります。最近はTeams会議の出席依頼なども飛びますがTNEF形式を使わない場合、iCalendar形式で送信されるらしいので大丈夫でしょう。(※詳細な運用テストは未です)
対策2. 「Outlook on the web」を使う
Microsoft 365でメールを利用されている方にはWindowsアプリ版のOutlookだけではなく、ウェブメール版のOutlook「Outlook on the web」(https://outlook.office365.com/mail/)が提供されています。
こちらのほうが過去のしがらみから解放されているため意味不明なTNEF形式での送信はないと思われます。まずメール形式として「リッチテキスト形式」(≒TNEF形式)が選択できません。
対策3. ひたすら待つ
というニュースがあります。Outlookアプリのリニューアル版の計画が進んでいます。
全体のルック&フィールはWeb版Outlookのそれに近いという。
「間もなく登場の“新”OutlookにみるWindows戦略」より
とのことですので、Web版ベースで進んでいるようです。ただのんびりやっているのでいつ出るかは不明です。マイクロソフト社のメールアプリは過去のLiveMailなどいろいろ失敗してきた結果、現在のOutlookへ繋がっているので期待は…
まとめ
いろんな場面でいらいらさせられる原因になっている、いにしえの仕様を増改築しながらここまで来ているOutlook。そのうちの一つ、winmail.dat問題に悩んでいる方の一助になれば幸いです。